2018年8月29日水曜日

チチタケ属のきのこ(L. trivialis ?)

上のきのこは、苫小牧市へ行った時に見つけたきのこ。現地ではもっと灰色っぽい色に見え、ヒダを傷つけても乳液を出さず、チチタケではないのかな?何だろうと思い写真に撮った。家に帰って来てから、再度ヒダを傷つけるとジワッと水分がにじみ出し、きのこ本体の水分が出てきているだけなのだろうか、実体鏡で覗いてみた。
 チチタケ属のきのこにはかなり疎く(どの属も疎い)、これは乳液と言えるのか、しばし思い悩んだ。写真を見ると、傘はどことなくピンク掛かっているようにも見える。ふと、ヌメリアカチチタケが頭をよぎり、ネット検索してみた。すると灰色っぽい幼菌の写真があり、ヌメリアカチチタケの幼菌は、こんな色合いのもあるのかな?、そう思いながら胞子は一応撮っておいた。

  今日になり、図鑑のヌメリアカチチタケの項目を見ると、乳液は白と書かれている。やはり、このきのこ、ヌメリアカチチタケじゃない。胞子を計測するとサイズも違っている。手持ちの図鑑では、該当する種が見つけられず、何というきのこなのか分からない。でも、すごいヌメリとプックリした担子器を持ち、このきのこ、何だか自己主張が強い。
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追加
傘表皮

 縁シスチジアと側シスチジア

胞子の合成写真
(乾燥標本からなので、組織から出た油球が背景に多量に写り、画像処理を施しています)
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再追記(2018/9/2)
もしかしたら、Lactarius trivialis かもしれない。
L. trivialisには、キハダチチタケという和名がある。

小さなフクロツルタケ

 一昨日、苫小牧市にある某公園へ行ってきた。やせた土地柄のせいなのだろうか。小さなフクロツルタケを見つけた。
 傘径は3㎝程度。
その近くに、もっと小さいのがあった。
傘径は2㎝以下だろうか…。
下は胞子、メルツァーで染めている。
これも、シロウロコツルタケに該当しない。

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 この公園では、色々なEntolomaがよく出ている。でも種名が分かるのはごく限られていて殆どが分からない。
でも、下の種は、(おそらく)Entoloma ursulae.
青味掛かった紫紺色の柄、幼菌時傘は濃い紫色で成長とともに退色するが傘中心部は紫色が残り、長い条線、および傘表面には細かな鱗片がある。図鑑との絵合わせで詳細に調べたわけではないので、もしかしたら間違っているかもしれないけれど・・・。

2018年8月22日水曜日

フクロツルタケ

 昨日、私のフィールドとしているS市の某公園に行ってきた。昨年も不作だったけれど、今年はそれよりも悪い。例年沢山出るタマゴタケ、カバイロツルタケ、イボテングタケタなどは1個も無かった。ホウキタケ属のきのこもヌメリガサ科のきのこも出ていなかった。クサハツやオキナクサハツなどはいくつか数えるほど出ていたもののベニタケ科のきのこも出ていない。イグチ類はヤマイグチを1個見ただけだった。これから挽回するだろうか。

 針葉樹林の方が出ているかもと、T町のトドマツ・エゾマツ林に行ってみた。ツエタケ類がいくらか出ていた。このフィールドでは初めて見るフクロツルタケに出会った。

 さて、フクロ? シロウロコ? アクイロウロコ?


胞子は、50個計測で(7.1)7.9-9.5(11.0)×(5.0)5.5-6.1(6.8)μm
フクロツルタケ A. volvata (Peck) Lloyd…8-12×5-8μ
シロウロコツルタケ A. clarisquamosa (S. Imai) S. Imai…10-15×5-6μ
アクイロウロコツルタケ A. avellaneosquamosa (S. Imai) S. Imai…9-10.5×5-6μ

シロウロコツルタケではなさそう…
無理に、いずれかに当てはめようとすると、アクイロウロコツルタケになるのだろうか…
ひとつ見たところで、何になる?なので、やはりいくつも採取して外観の形態と胞子を比較してナンボになるんだろうな。
 来週は道南の方に行って見ようかと思う…。

2018年8月19日日曜日

ナンカイキクラゲ

  以前、菌学会大会に参加された方から、国内でキクラゲ Auricularia auricula-judae とアラゲキクラゲAuricularia polytricha と思われていたものが、実は本当のキクラゲとアラゲキクラゲではなかったという報告があったと聞き、そのことは頭の片隅にあった。

 今年、北海道からのサンプルがないので、見つけたら送って欲しいとN氏より連絡があり、6月にアラゲキクラゲのサンプルを送付したところ,それはアラゲキクラゲではなく、
ナンカイキクラゲAuricularia corneaだったとの結果報告を頂いた。

下の写真は、これまでアラゲキクラゲと思っていた。
  近くの防風林の様子を見に行くと、数日雨が降り続いたせいか、またまたナンカイキクラゲがたくさん発生していた。このきのこ、アラゲキクラゲとどこが違うのだろうと思い、胞子の形態などわかる資料がないかなと検索して見ると、まさにそのことが書かれている論文をWEB上で見ることが出来た。
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjom/59/1/59_jjom.H30-02/_pdf/-char/ja

論文の記載に、
アラゲキクラゲ…担子器果背面は長さ600μm以上の毛(背毛)を密生する
ナンカイキクラゲ…背毛の長さは70-560μm;担子胞子は13.5-18.5×5.5-7μm
 とある。
 とりあえず、胞子をカバーガラスに取り、顕微鏡で覗いてみた。
背毛…600μmを超えるものは見られなかった。

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きょう、きのこ仲間と話し合う機会があり
「本当のアラゲキクラゲではない」ではなく
そもそもは、Auricularia corneaだったのに、Auricularia polytrichaという学名を持ってきて、最初に学名を掛け違えたのではないのかい?
と、そんな話になった。学名の掛け違えは、時折あることで、キクラゲやアラゲキクラゲも、たぶん、そうなんだろうな…と思った。

2018年8月17日金曜日

ブナノモリツエタケ

北海道はお盆が過ぎれば、一雨ごとに寒くなる。しかし、この寒さは…
私が住む町の外の気温は、ただいま12℃
8月17日の過去の最低気温が2008年に15℃という年もあったらしい。それを上回り…いや、この場合は下回ったというべきか。ニットのカーディガンを羽織っている。


 昨日になってしまったけれど、昨日は先日採集し乾燥させていたブナノモリツエタケの線画を作成していた。
 ブナノモリツエタケは フォーレで毎年のように採集されているので、ごくありふれたツエタケの一つだろうと思われる。しかし、私の住む辺りにはブナがないせいか、あまり見掛けることはない(出るところには出るのだろうけど)。見つけたのはアカエゾマツ林(人工林)。近くに広葉樹があることや、たぶん、人工林にする際、広葉樹を伐採して植樹しているので、地中には広葉樹の根がまだ残っていたのかもしれない。
よく見かけるのは、マルミノツエタケやフキアゲマルミノツエタケ、オキナツエタケで、これらのツエタケ類とは傘面が違っている。乾いているときには凹凸が少なく細かなシワがある。マルミノツエタケやフキアゲマルミノツエタケのような網目を殆ど形成しない(傘縁に網目を形成することがあっても、縁のみで、平滑に近い)。
 一応、顕微鏡で確認するときは
①胞子は楕円で担子器は4胞子性 ②側シスチジアが小頭ではなく、幅広の嚢状 ③ 傘表皮には毛状菌糸がない、この3点だろうか。ツエタケの中でも見分けやすい種。
担子胞子…(12.4) 13.4-15.1(16.9)×(9.1)9.9-10.9(11.8)μm
担子器… 45.4-53.3×11.3-17.8μm
傘シスチジア…16.0-65.1×9.5-34.9μm
縁シスチジア…28.5-115.1×10.9-40.3μm
側シスチジア…81.3-124.8×20.3-45.4μm
柄シスチジア…21.1-85.9×5.7-23.4μm

2018年8月15日水曜日

ザラツキウラベニガサ

 7月の北海道は、15日頃に一部で雨が降ったものの、私の住む辺りはその前から雨らしい雨が降らず日照り状態が続いた。8月に入り、9日になってやっと雨が降り出した。いつもの年ならテングタケやイグチ類の最盛期…なんだけど、2日前にちょっと様子を見に出かけてみたものの、あまりの不作に閉口。きょうも、時折やや強い雨が降り、出かける気になれず、どうしたものかと窓の外を眺めた。
 そういや、2日前に採取し、帰宅してから写真を撮ったベニヒダタケの仲間のきのこが冷蔵庫に入れっぱなしだった。
 こんな日は、"調べてみろ” ということなんだろうなと、傘表皮を顕微鏡で覗いてみた。
色んな形の傘シスチジアが並んでいた。
 たぶん、ザラツキウラベニガサだろうと、他の組織も見てみた。


担子胞子…(4.2)4.8-5.4(6.1)×(4.1)4.3-4.7(5.2)μm Q:1.00-1.26 Ave.1.13
担子器… 19.0-28.2×5.5-6.9μm
縁シスチジア…18.4-64.9×7.9-24.4μm
側シスチジア… 29.6-85.1×8.7-23.8μm
柄シスチジア…26.2-121.0×8.1-18.6μm
傘シスチジア…未計測
スイスの菌類図鑑を見てみると、胞子サイズは
 P. podospileus f. minutissimus…5.4-7.8×5-7μm Q:1.0-1.2
 P. podospileus f. podospileus…5.1-7.3×4.8-6.7μm Q:1.0-1.2
おそらく、 写真の種は P. podospileus f. podospileusの方だと思うのだけど
胞子サイズが若干小さい。この差異は範疇とするか、それとも近縁とすべきなのだろうか…?

疑問に思うこと(どうでも良いことなのかもしれない)
 P. podospileusは、なぜザラツキウラベニガサなんだろう。
ベニヒダタケ亜属なら、ザラツキベニヒダタケの方が分かりやすいのに…
それと、どこがザラついて ザラツキになったのだろう…

HP閉設

 ホームページを開設したのは、きのこを始めて間もない頃の2003年頃で、かれこれ15年になる。当時「ホームページを作ることは簡単だけれど、持続させていくことは難しい」と言われ、本当にそうだと思いながら、センスも文才も根性もなく、単に自分が見つけたきのこを載せるだけの自己満足でやってきた。色々な人が立派なホームページを作成し、世の中にはとんでもなくきのこの種名を知っている人、綺麗な写真を撮る人、見つけ出す人、丁寧に解説もあったりで、ただただ凄いな…と思う。これ以上、自分が自分のホームページを開設し続ける意味などどこにもないと、数年前から日増しに思ってきていた。

 開設当初から「いつ閉じるか」はずっと頭の片隅にあった。そろそろ、その時期がやってきたのかもしれないと、そんなことをフツフツと思っている。

 かと言って、きのこをやめようとは思っていなくて、ブログはこれまでのように気の向いた時に、気ままにメモ代わりに続け残そうと思っている。